第23章 投稿者は西川安菜?

有岡里穂は黒と金の名刺を見つめた。手のひらの中のそれが、急にずしりと重く感じられる。金に糸目をつけても手に入らないような大物の連絡先が、こんな形で自分のところに転がり込んだのだ。

阿部蓮太郎は言うだけ言って、その場に留まらなかった。身を翻し、阿部爺さんを支えながら先に病室へ戻っていく。

里穂は以前、おじいちゃんに付き添って病院へ来たとき、「表に出られない人」のための特別な動線がいくつもあるのを見ていた。だから阿部婆さんが、あの扉からストレッチャーで押し出されてくることもないと分かっている。

里穂は阿部蓮太郎たちについて病室へは行かなかった。阿部婆さんは衰弱していて、今は面会どころじゃな...

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